ウクライナ
- ウクライナ
- Україна
-
(国旗) (国章) - 国の標語:Воля, злагода, добро
(ウクライナ語: 自由、調和、善良) - 国歌:Ще не вмерла Україна(ウクライナ語)
ウクライナは滅びず -
公用語 ウクライナ語 首都 キエフ(キーウ) 最大の都市 キエフ 独立
- 日付ソビエト連邦より
1991年8月24日通貨 フリヴニャ(UAH) 時間帯 UTC +2(DST:+3) ISO 3166-1 UA / UKR ccTLD .ua 国際電話番号 380
ウクライナ(ウクライナ語: Україна、[ukrɑˈjinɑ])は、東ヨーロッパに位置する共和制国家。首都はキエフ。
東にロシア連邦、西にハンガリーやポーランド、スロバキア、ルーマニア、モルドバ、北にベラルーシ、南に黒海を挟みトルコが位置している。
概要
16世紀以来「ヨーロッパの穀倉」地帯として知られ、19世紀以後産業の中心地帯として大きく発展している。天然資源に恵まれ、鉄鉱石や石炭など資源立地指向の鉄鋼業を中心として重化学工業が発達している。
キエフ大公国が13世紀にモンゴル帝国に滅ぼされたあとは独自の国家を持たず、諸侯はリトアニア大公国やポーランド王国に属していた。17世紀から18世紀の間にはウクライナ・コサックの国家が興亡し、その後ロシア帝国の支配下に入った。第一次世界大戦後に独立を宣言するも、ロシア内戦を赤軍が制したことでソビエト連邦内の構成国となった。1991年ソ連崩壊に伴い独立した。
本来の「ルーシ」「ロシア」とは、現在のロシア連邦よりもウクライナを指した。歴史的・文化的には中欧・東欧諸国との関係も深い。
国名
ウクライナの最高法規たるウクライナ憲法によると、当国の正式国号は「Україна」である[3]。公式の英語表記は「Ukraine」(ユークレイン)である。
日本語の表記は「ウクライナ」となっている[4][注釈 1] が、2019年7月に在日ウクライナ大使館はウクライナ語を基にした「ウクライーナ」と表記すべきであるとの意見を表明した[5]。しかし、その後の2019年9月、同大使館や日本外務省の代表者や国会議員、ウクライナ語専門家の参加を得て開催されたウクライナ研究会主催の「ウクライナの地名のカタカナ表記に関する有識者会議」にて「国号について、ウクライナの変更はしない」との結論が出され、同大使館案は採用されなかった[6]。漢字表記は現在の日本では滅多にされないが、「宇克蘭」[7]、または「烏克蘭」[8] である。
「ウクライナ」というスラヴ語の地名の初出は、『原初年代記』イパチー写本の「キエフ年代記」、1187年の条である[9]。この地名は、キエフ公国・チェルニーヒウ公国と並んでルーシ大公国の歴史的中枢地に含まれるペレヤースラウ公国の範囲を示している。また、この地名はほかのルーシ年代記の1189年の条[10]、1213年の条[11]、1280年の条[12] にも「ウクライナ」あるいは「ヴクライナ」という形で登場し、ガリツィア地方、ヴォルィーニ地方、ポリーシャ地方を指す用語として用いられている。
13世紀にルーシ大公国が滅び、その中部・南部の地域がリトアニア大公国とポーランド王国に併合されると、「ウクライナ」は併合地の領域を表す地名としてリトアニア・ポーランドの年代記や公式文書などに使用されるようになる。14世紀から17世紀にかけて広義の「ウクライナ」はルーシ人が居住するガリツィア地方、ヴォルィーニ地方、ポジーリャ地方、ブラーツラウ地方とキエフ地方の範囲を示し、狭義の「ウクライナ」はキエフを中心としたドニプロ川の中流域を示している[13]。
「ウクライナ」の地名の両義性は、ウクライナ・コサックのヘーチマン国家が誕生する17世紀半ば以後にも東欧の古文書にみられる。狭義の「ウクライナ」は当国家の支配圏を指しているが、広義の「ウクライナ」は当国家の支配圏外のルーシ人の居住地を意味している[14]。しかし、ヘーチマン国家がロシアの保護国になることにより、「ウクライナ」はドニプロ川の中流域だけを意味するようになり、17世紀以降はルーシの本土を意味する小ルーシという地名の同義語となった。
19世紀後半から20世紀初頭にかけて、ルーシ系の知識人による民族運動が発展していくにつれて、「ウクライナ」はルーシ人が居住する民族領域を意味する名称となり、「ルーシ人」は「ウクライナ人」という民族名に取って代わられた[13]。1917年に成立したウクライナ人民共和国において初めて、「ウクライナ」という名称が正式な国号の中で用いられることとなる。
語源
「ウクライナ」の語源については、「国」といった意味であるという説と、「辺境」といった意味であるという説がある。前者は「内地」を意味する中世ルーシ語の「ウクライナ」(ѹкраина)・「ヴクライナ」(вкраина)という単語に基づいており、後者は「僻地」を意味する近世のポーランド語の「オクライナ」(Okrajna)やロシア語の「オクライナ」(окраина)という単語に基づいている[15]。
「ウクライナ」/「ヴクライナ」に関連する単語の中で、もっとも基本的で、現在でも使用されている一音節の「クラーイ」(край)という単語には「地域」「隅」「境」「端」などの複数の意味がある[16]。これから派生したウクライナ語の「クライーナ」(країна)という名詞は「国」を意味する[17]。ウクライナ語では「ウ〜」(у)[18] と「ヴ〜」(в)[19] は「内〜」「〜の中で」を意味する前置格を支配する前置詞であることから、「ウクライナ」や「ヴクライナ」は「境界の内側」「内地」を意味する。一方、ロシア語では「クラーイ」から派生した「オクライナ」(окраина)という単語が「場末」「辺境」「はずれ」という意味をもっている。ロシア語では「オ〜」(о)[20] と「ウ〜」(у)[21] は「〜の側に」「〜の端に」を意味する前置詞であるために、ロシア語話者は「ウクライナ」を「辺境地」と解釈しがちである。
地理
ウクライナの国土のほとんどは、肥沃な平原、ステップ(草原)、高原で占められている。ドニエプル川、ドネツ川、ドニエステル川が横切っており、南のブーフ川とともに、黒海、アゾフ海に注ぎ込んでいる。黒海北岸にはクリミア半島が突き出しており、ペレコープ地峡でウクライナ本土とつながっている。
南西部にあるドナウ・デルタはルーマニアとの国境になっている。
山岳地帯は、ウクライナの最南端のクリミア山脈と西部のカルパティア山脈にしかない。最高峰はカルパト山脈にあるホヴェールラ山(Говерла, Hoverla)で、標高2,061メートル。なお、これ以外の地域も平坦というわけではなく、東ヨーロッパの中では比較的起伏の多い地形をしている。
気候は温暖な大陸性気候であるが、クリミア半島の南岸は地中海性気候により近い。降雨量は局所的に偏っており、北部や西部は多く、南部や東部は少ない。冬は黒海沿岸は涼しいが、内陸に行くにしたがって寒くなる。夏はほとんどの地域で暖かいが、当然南に行くほど暑い。
![]() ニージン
プルィルークィ
ノヴォフラード
ベルディーチウ
スミーラ
ルブヌィー
ドロホーブィチ
ストルィーイ
カールシュ
コロムィーヤ
ムカーチェヴェ
レニ
ペルヴォマイシク
ノヴァー・ カホーウカ
ジャンコイ
メリトーポリ
ロームヌィ
コノトプ
ショーストカ
ロゾヴァ
イジューム
スロウヤーンシク
クラマトールシク
イェナーキイェヴェ
ホールリウカ
スタロビーリシク
アルチェーウシク
スタハーノウ
|
交通
ウクライナの交通は、鉄道、バス、船舶、航空機、自動車などによっている。鉄道は、ウクライナ鉄道によって一元化されている。一方、ウクライナの航空会社はソ連時代のアエロフロート一括管理型から多くの中小の航空会社が競合する状態になっている。
地方行政区分と都市
ウクライナは、24の州と、クリミアにある1つの自治共和国、そして2つの特別市から構成される。ただし、クリミア自治共和国とセヴァストポリはロシア連邦の実効支配下にある。また、親ロシア分離独立派が支配するドネツィク州(ドネツク人民共和国)とルハンスク州(ルガンスク人民共和国)のドンバス地域の一部、およそ推定人口300万人程度の地域に対する管轄も及んでいない(「クリミア危機・ウクライナ東部紛争」を参照)。
No. | 州 | 州庁所在地 | No. | 州 | 州庁所在地 |
1 | ![]() |
イヴァーノ=フランキーウシク | 13 | ![]() |
チェルニウツィー |
2 | ![]() |
ヴィーンヌィツャ | 14 | ![]() |
テルノーピリ |
3 | ![]() |
ルーツィク | 15 | ![]() |
ドニプロ |
4 | ![]() |
オデッサ | 16 | ![]() |
ドネツィク |
5 | ![]() |
キエフ | 17 | ![]() |
ハルキウ |
6 | ![]() |
クロプィウヌィーツィクィイ | 18 | ![]() |
フメリニツキー |
7 | ![]() |
ウージュホロド | 19 | ![]() |
ヘルソン |
8 | ![]() |
ザポリージャ | 20 | ![]() |
ポルタヴァ |
9 | ![]() |
ジトーミル | 21 | ![]() |
ムィコラーイウ |
10 | ![]() |
スームィ | 22 | ![]() |
リヴィウ |
11 | ![]() |
チェルカースィ | 23 | ![]() |
リウネ |
12 | ![]() |
チェルニーヒウ | 24 | ![]() |
ルハーンシク |
- | 特別市 | No. | 自治共和国 | 自治共和国の首都 | |
- | ![]() |
![]() |
25 | ![]() |
シンフェロポリ |
ウクライナの都市(2001年[22]) | ||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
位 | 都市 | 行政区分 | 人口 | 位 | 都市 | 行政区分 | 人口 | ![]() |
州 | ||||||||
自治共和国 |
| |||||||
特別市 | ||||||||
|
|
|
|
|