亜熱帯


亜熱帯(あねったい、英:Subtropical)とは、熱帯に次いで気温の高い地域のこと。しかし、ケッペンの気候区分には亜熱帯という区分はない。ケッペンの気候区分では温帯に含まれる地域の一部(温暖湿潤気候等)を俗に亜熱帯と呼ぶことがある。温帯夏雨気候(Cw)の別名として「亜熱帯モンスーン気候」と呼ぶこともある。このため、亜熱帯の定義として広く認められたものはなく、人や場合によってさまざまな意味合いで使われる。一般には熱帯の北と南にある北回帰線と南回帰線(それぞれ北緯・南緯23.5度)付近の緯度が20度から30度あたりの地域を漠然と指すことが多い。温帯に属する地域の中で最寒月の最低気温の平均 (平均気温ではない)が摂氏0度以下には下がらない地域で、温帯であって年平均気温が18度以上かつ最寒月の平均気温が10度以上である地域、平均気温20℃以上の月が4~11か月までで20℃以下の月が1~8か月の範囲とか[1]、冬季の平均気温がほぼ15度以上ある地域であるなどの定義がされることもある。
この緯度の地域は、大陸の東岸においてはモンスーンの影響を受けるため非常に湿潤となり、熱帯モンスーン気候や温暖湿潤気候など熱帯や温帯に属する気候となる。対して、西岸においてはモンスーンの影響を受けないため、亜熱帯高圧帯の影響下でほとんど雨が降らず、乾燥帯となるのである。
フローンの気候区分においては、亜熱帯乾燥帯(記号:PP)と亜熱帯冬雨帯(記号:PW)が存在する[2]。PPはケッペンの気候区分の乾燥帯(B)、PWは地中海性気候(Cs)に相当する[2]。
アリソフの気候区分においては、気候帯4すなわち「高日季(夏)は熱帯気団、低日季(冬)は寒帯気団に支配される地域」が亜熱帯と呼ばれている[3]。
亜熱帯の地域・都市
アメリカ合衆国カリフォルニア州南部、フロリダ州北・中部[注 1]、メキシコ湾岸北部、オーストラリア東海岸[注 2]、南アフリカなどを含む。
- 那覇 (日本、北緯26.1度)[4]
- 台北(台湾、北緯25.5度)[5]
- 香港(中国、北緯22.3度)[6]
- 広州(中国、北緯23度)[7]
- ブリスベン(オーストラリア、南緯27度28分)[8]
- ニューオーリンズ(アメリカ合衆国、北緯29.9度)
脚注
- 注釈
- 出典
- ^ 日本国語大辞典, ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典,デジタル大辞泉,百科事典マイペディア,世界大百科事典 第2版,大辞林 第三版,日本大百科全書(ニッポニカ),精選版. “亜熱帯(あねったい)とは” (日本語). コトバンク. 2020年7月28日閲覧。
- ^ a b 矢澤(1989):306ページ
- ^ 仁科(2007):65ページ
- ^ 気候 那覇市、2017年12月7日閲覧
- ^ 台北の気候と時差 株式会社HowTravel、2017年12月7日閲覧
- ^ 年間気候カレンダー 株式会社イデア、2017年12月7日閲覧
- ^ 珠江のほとりに位置する街:広州 ジェットスターグループ、2017年12月7日閲覧
- ^ ブリスベン/ゴールド・コーストの気候 株式会社トラベルビジョン、2017年12月7日閲覧
参考文献
- 仁科淳司『やさしい気候学 増補版』古今書院、2007年3月3日、135pp. ISBN 978-4-7722-8500-1
- 矢澤大二『気候地域論考―その思潮と展開―』古今書院、1989年11月20日、738pp. ISBN 4-7722-1113-6